〜葡萄色の夜明け〜
あなたを好きになったかも知れない
私はここに来てこんな風に


思ったことをありのままに書くことしかできません。


けれど私の人生の中で、大切な存在だからこそ


思いのままに自然に、遺しておきたい気持ちが溢れます。

IMG_4303おかえり



相棒に音楽を授けてくれた人。


ギターを始めて手渡してくれた人。




「小さな町のレコードショップ」のアルバイト店員から始まり、


「俺はここで終わる人間じゃない」と、大きな舞台に身を移し


異例の出世を遂げ、業界No2に駆け上がった人。




その生き様全てが、相棒にとっては「尊敬してやまない存在」でした。


年の離れた従兄弟でしたが「自慢の兄のような存在」でした。





相棒の愛しい眼差しから伝え聞くその男性(ひと)は


幼少期からあまりに波乱万丈の人生で、


彼の辿った壮絶な人生を語るには、一冊の本では到底足りないほどでした。




そして何より確かなのは「特別に相棒を可愛がってくれた人」だと言うことです。

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数年前、相棒が新居に伺った時のことです。




「え?お前1人で来たのか?何をしてるんだ。」

「どうしてAkiraさんと娘さんを連れて来なかったんだ?」

「次に来る時は必ず必ず一緒に連れてこい。分かったな。分かったな。」




「いいか?今度は1人で来るんじゃないぞ。」




着いてから帰るまで、そればかりを繰り返されたそうです。

苦笑いの彼がそう話してくれました。




私はそれが心残りでなりません。



「いつか」



その言葉の重みを、重々分かっているつもりでこれまで生きてきた筈なのに

「いつかは無い。だから今」

そう思って生きてきたはずなのに



どうしてこれまで飛んで行かなかったのだろう。

何故もっと早くに逢いに行かなかったのだろう。



あまりにいつも側に居てくださっているような気がしていました。



次に東京へ行く時には必ず一緒にお宅へ伺って

「これでもか」と言うくらいに、

大好きなギターの話や、音楽の話をさせていただくつもりでした。




小さかった頃の相棒のこと。

間違いなく泣き虫で、それ以上に、譲れないひたむきな心を持った相棒のこと。

あなたの口から聞かせてほしかった。

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秀人さん。


昨日の仕事がえり、電車の中で相棒のラインからあなたの旅立ちを知り

私は彼を少しの瞬間も1人にしたくはなくて、

駅から家までのとても短い距離を、泣きながら全速力で走りました。




「私は泣かない。今は泣かない。私は泣いちゃいけない。」

いよいよかと連絡を受け、その壮絶な状況にもそう言い聞かせてきました。




私の顔を見た彼は


「そんなに泣いてくれるの?ありがとう。」


丁寧にそう言いました。




「今から一緒にお酒でも買いに行こうか。」


エレベーターを待ちながら


「私、あなたに出会う前に秀人さんに会っていたら、彼のことを好きになっていたかも知れない。」


「秀人兄ちゃんだったらいいよ。」


そんな話をしていましたが、聞こえましたか?

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驚いたのは、あなたの遺言が私と同じだった事。



「葬式はしないでほしい。」


「LPをかけてくれ。」



あなたどんな思いで「葬式をしないで欲しい」と言ったのか、

私には痛いほど理解できました。



あなたにお別れを言いたい人は山ほどいるでしょうし、

その方々には申し訳ない事かもしれませんが、

その「選択の期間が与えられた事」だけは本当に良かったと

私は心からそう思いました。



「葬式はしないで」



こんな遺言を残す人が、自分以外に居たのかと思うと

私はあなたの存在を、とても身近に感じていました。




そしてきっとその遺言の中には、愛した人たちにあてられた言葉が

丁寧に込められていたのだと思います。

そんな風に生き抜いた人だと思います。

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今朝一番、彼はあなたの元へ発ちました。



私は一緒に行きたかったけれど、

「お願い、一緒に行きたい。」とは、どうしても言えませんでした。

この場面で「私は」と言う言葉を

彼に向かって口にするなど、到底出来ませんでした。



「秀人兄ちゃんは背が高くてあの顔立ちだから、モデルにもスカウトされたんだよ。」

「秀人兄ちゃんは、秀人兄ちゃんは、、」

とにかくいつも私に、あなたの自慢話ばかりでした。

そして、ある面ではあなたの不遇な人生を、深く憂いでもおりました。



秀人さん。

私はあなたを好きになったかも知れません。

でもそれはきっと、

相棒がこんなにも愛して止まない人だったからでしょうね。

IMG_4311okaeri.jpg



「逢いたかった。」


「私も一緒に行きたかった。」




一緒に居たかったです。


側に居たかったです。




私の母と同じお寺に入られるのですね。

遺言にしっかりと記されていたそうですね。

これも偶然ではないのでしょうね。




「彼に音楽を授けてくださって、本当にありがとうございました。」


「彼を可愛がってくれてありがとうございました。」




あなたが骨になる日、

「大切な会社の試験」が「彼の為だけに」用意されています。

きっと偶然では無いのでしょうね。



「どうしてよりにもよって、こんな時に試験なんだ。さすがに帰らなきゃいけないのか。」

そう繰り返す彼に



「こんな時、秀人さんならあなたにどうやって言うかを1番に考えてあげられるといいね。」

「葬式をしないで欲しい。」と遺言を遺した秀人さんは

あなたにどう言うのかを、それだけを考えてあげられるといいね。

私はひとまず、そう声をかけました。




秀人さん。


彼は、骨になるあなたの前に立っているのは無理だと思います。

きっと気が狂ってしまうでしょう。

あなたも分かっていらっしゃいますよね?



けれど、彼は帰ってこないかも知れません。

1番泣き虫だけど、それ以上にひたむきな想いを持ち続ける人ですから。



「あなたを愛した彼の人生」

IMG_4316okaeri.jpg


私はここで泣いていますね。

いつかお逢いできる日に。

また。


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この記事へのコメント
1487. ドロシー   URL  2016/10/26 09:02 [ 編集 ]
大切な人の旅立ちですね…

心からお悔やみ申し上げます。

私もこの頃、偶然は無いのだと思う様になりました。

気が付かなかったけれど、それは必然だったのかと…
未熟な私に何を学べと言うのかと思う事もあったけれど
私の為にならない事は何一つ無かったな…

沢山泣いて、思い出話しも沢山して
いつか仲良しさんは、同じところに辿り着きたいね。
1488. ドロシーちゃんへ   URL  2016/10/26 15:00 [ 編集 ]
「偶然は無い」そう思います。
いつか同じところに辿り着きたい。
本当にそうですね。

「ありがとう。」
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ようこそAkiraのときへ

















このブログの主題歌を作ってみました。
「La Douceur」
〜葡萄色の夜明けの唄〜



作詞・作曲・編曲・唄:Akira





「果てない感動」

「ギタリストの兄の旋律」に纏われ過ごした子供時代。
自身の分身を産み出すように
押し寄せる波のように
「激しいまでに美しい音色」が
いつも私の耳元で鳴り響いていた。
その音色はまさに「天に届くもの」

IMG_7929のブログ

作詞をする。
作曲をする。
アレンジで風に色をつける。
風をまとい、歌い響かせ昇天する。

亡き父が愛したカメラの世界。
感じる。
動く。
焦点を定める。 息を止め、シャッターに触れる指先。

ブログヘッドデザイン原本 のコピー

最後の時計が止まる瞬間まで、愛おしさに焦点を合わせ続けた父。
大切なものを守る為には、他を捨て去る事に何のためらいも無かった父。

「一瞬たりともぶれない焦点世界」

私が愛してきた音楽と同じ。
父亡き後、その世界へと歩き出す。

写真を撮るのは、歌を唄うのは

「あなたがいるから」
「あなたがいたから」

「この愛がすべて」そう響かせて。

IMG_0342 のコピーブログ

「Akira」(アキラ)歌と共に

14725477_akira.jpg
シンガーソングライター、
アレンジャー、
ヴォイストレーナーとして活動中


2016.1.1
ユニット「風美」fu-bi
HP開設致しました。
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